子どもの頭が大きい

2026/5/22 更新

1. はじめに

うちの子、頭が大きいような…

「うちの子、頭が大きいかも…」
「健診で頭囲が大きめと言われたけど大丈夫?」


そんな不安をお持ちの保護者の方へ、まず結論からお伝えします。


子どもの頭が大きい場合、多くは遺伝や体質が原因で病気ではありません。 

成長曲線(母子手帳のグラフ)と同じカーブで増えていれば、急いで受診する必要はないことがほとんどです。 


ただし、急な頭囲増加・大泉門の膨隆・嘔吐・発達の遅れが伴う場合は、
早めに小児科へ相談してください。


この記事では、頭が大きい原因・様子見でよいケース・注意が必要な症状・受診目安・何科に行くべきかを整理してお伝えします。


2. まずはチェックすること

原因を探る前に、「頭囲の数値」「今の子どもの様子」を確認しましょう。


頭囲の目安と成長曲線の見方

頭囲とは、おでこの最も出た部分から後頭部の最も出た部分をぐるっと一周した長さです。


月齢・年齢頭囲の目安(平均値)
生後0か月(新生児)約33〜35cm
生後3か月約39〜41cm
生後6か月約42〜44cm
1歳約45〜47cm
2〜3歳約47〜51cm

重要なのは「絶対値」より「推移」です。97パーセンタイルを超えていても、成長曲線に沿ってカーブが並行していれば、多くは様子見で問題ありません。


頭囲成長曲線のイメージ図

今すぐ確認したいチェックリスト

以下の症状が1つでも当てはまる場合は、早めに小児科を受診してください。


  • 1〜2か月で頭囲が急に大きくなった
  • 大泉門(頭頂部の柔らかい部分)が常に膨らんでいる・緊張している
  • 繰り返す嘔吐・甲高い泣き声・けいれんがある
  • 目線が下向き(落陽現象)になっている
  • 首すわり・座る・立つなどの発達が著しく遅れている
  • 機嫌が悪い・活気がない時間が長い


3. 子どもの頭が大きいよくある原因

原因特徴・頻度
遺伝・家族性大頭症(最多)両親どちらかが大きめ。病気ではなく、成長曲線に沿っていれば様子見でOK
水頭症(髄液のたまり)急な頭囲増大・嘔吐・大泉門膨隆を伴うことが多い
巨脳症(脳が大きい)脳自体の発達異常。発達遅れを伴うことがある
遺伝性疾患(ソトス症候群など)特徴的な顔つき・発達遅れなど複数の症状を伴う

遺伝・体質によるもの(最も多い)

頭が大きい最も多い原因は遺伝や体質です。両親のどちらかが子どもの頃から頭が大きかった場合(家族性大頭症)、子どもも同様になることがあります。

病気ではなく、成長曲線に並行して増えていれば心配はいりません。


脳の液がたまっている(水頭症)

脳や脊髄を保護している「髄液(ずいえき)」の循環が障害され、過剰にたまることで頭が大きくなります。

嘔吐・甲高い泣き声・大泉門の膨隆・落陽現象などを伴う場合は早めに受診が必要です。


4. 「頭が大きい」で考えられる病気は?

考えられる病気は?

頭囲が大きいことだけで病気の診断はできません。

下記はあくまで参考情報です。


気になる場合は小児科医に相談してください。

水頭症

髄液という液体の循環がうまくいかなくなって、過剰にたまることで生じる病気です。


脳や脊髄のまわりは髄液によって満たされることで保護されています。

髄液は脳室という空間でつくられ、脳や脊髄を循環していったあとに吸収されますが、その吸収がうまくいかなくなることにより生じるのが水頭症です。


症状としては、頭が異常に大きくなることがあります。

また、脳内の圧力が上昇することによって、甲高い声で泣いたり、吐いたりするといった症状や、けいれん発作がみられることがあります。



ソトス症候群

ソトス症候群は、頭が大きい、特徴的な顔つき、成長の度合いが大きい、知的障害や運動能力の発達の遅れなどが特徴の症候群です。

NSD1遺伝子という遺伝子の異常が原因とされています。

生まれつき頭や体は大きく、長い腕や高身長が特徴ですが、多くの場合には大人になると身長は正常範囲内になります。

合併症としては心臓の病気や腎臓の病気、てんかん発作、背骨の側弯(曲がり)などがあります。


巨脳症-毛細血管奇形症候群

特定の遺伝子変異により脳・小脳が大きくなる症候群です。

知的能力・運動能力の発達遅れ、てんかん発作を伴うことがあります。


ライソゾーム病

体内にはライソゾームという器官があり、そのライソゾームの中に存在する酵素のひとつが先天的に欠損しているために起こる病気が、ライソゾーム病です。

欠損する酵素の種類によって症状は異なり、現在約50種類のライソゾーム病が知られています。


ライソゾーム病のひとつであるムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型では、頭が大きい、額が突き出している、舌が大きいなどの顔つきの特徴があります。


ムコ多糖症Ⅰ型は、アルファ-L-イズロニダーゼという酵素の働きが低くなることで、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸という物質が体内に蓄積していき、様々な症状がおきる病気です。


ムコ多糖症Ⅱ型は、イズロン酸-2-スルファターゼという酵素の働きが低くなることで、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸が蓄積して様々な症状がおきる病気です。全般的にムコ多糖症Ⅰ型より症状が軽いとされています。


ライソゾーム病のタイプ別の症状と最新の治療について


5. 病院を受診する目安と診療科

様子見でよいケース早めに受診すべきケース
両親どちらかが頭大きく、成長曲線に沿って増えている短期間で頭囲が急激に増えた
発達が月齢どおりに進んでいる大泉門が常に膨らんでいる・緊張している
機嫌がよく、元気に過ごしている繰り返す嘔吐・甲高い泣き声・けいれん
大泉門の過度な膨隆がない発達が著しく遅れている・落陽現象がある


何科を受診すればよい?

診療科こんなときに
小児科(まず最初に)頭囲が気になる・発達が心配・健診で指摘された。迷ったらここへ
小児神経科発達遅れ・けいれんなど神経症状がある場合。小児科から紹介
脳神経外科(小児)水頭症が疑われ、手術の必要性を検討する場合
遺伝科・遺伝子診療科遺伝性疾患が疑われる場合。小児科から紹介

迷ったらまず小児科へ。

必要に応じて専門科を紹介してもらえます。


6. よくある質問(Q&A)

Q1. 頭が大きいのは遺伝ですか?

A. はい、頭の大きさには遺伝的な要因があります。両親のどちらかが大きめの場合、子どもも同様になることがあります(家族性大頭症)。

病気ではなく、成長曲線に沿って増えていれば様子見で問題ありません。


Q2. 健診で頭囲が大きいと言われました。病気の可能性はありますか?

A. 頭囲が大きいだけで病気と診断されることはありません。

多くは遺伝・体質によるもので、様子見でよいケースがほとんどです。

急激な頭囲増加・発達遅れ・嘔吐・大泉門の膨隆を伴う場合は早めに小児科へ相談しましょう。


Q3. 大泉門が膨らんでいます。大丈夫ですか?

A. 赤ちゃんが泣いたり興奮したりすると一時的に盛り上がるのは正常です。

安静時でも常に膨らんでいる・緊張している場合は脳圧上昇のサインの可能性があるため、早めに小児科を受診してください。


Q4. 頭が大きいと発達や知能に影響しますか?

A. 遺伝・体質による頭囲の大きさは、知能や発達に直接影響しません。

水頭症やソトス症候群などが原因の場合は発達に影響することがあるため、発達の遅れが気になる場合は小児科医に相談してください。


Q5. 97パーセンタイルを超えています。すぐ受診が必要ですか?

A. 97パーセンタイルを超えること自体は、すぐに病気を意味しません。

成長曲線と並行して増えているなら様子見でよいケースが多いです。

カーブが急に上向きになった・他の症状がある場合は受診を検討してください。


7. まとめ

この記事のポイントを整理します。


  1. 頭が大きい原因の多くは遺伝や体質。病気が原因であることは少ない
  2. 大切なのは「頭囲の絶対値」より「成長曲線の推移」
  3. 急激な頭囲増加・大泉門の膨隆・発達の遅れには注意が必要
  4. 気になる症状があれば、まずかかりつけの小児科に相談を
  5. 必要に応じて小児神経科・脳神経外科・遺伝科を紹介してもらえる


次に取るべき行動

  • 母子手帳の成長曲線で頭囲の推移を確認する
  • 両親の頭の大きさを確認する(遺伝の可能性を考える)
  • 大泉門の状態と発達の進み具合を確認する
  • チェックリストに当てはまる症状があれば、小児科へ相談する


子どもの成長には個人差があります。

「うちの子だけ大きい」と一人で抱え込まず、気になることはかかりつけの小児科医に相談してください。


専門家に相談することで、不安が解消されることがほとんどです。




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