2026/8/13 更新

子どもが汗をかかないことだけで、すぐに病気とは判断できません。汗の量には個人差があり、気温、湿度、運動量、服装、水分摂取量によっても変わります。
一方で、暑い場所や運動中でもほとんど汗をかかず、体が熱い、顔が赤い、ぐったりしている場合は注意が必要です。汗は体温を下げる大切な働きがあるため、発汗が少ないと熱がこもりやすくなることがあります。
まずは「いつから」「どんな場面で」「どの程度汗が少ないのか」「他に症状があるか」を確認しましょう。普段から汗をかきにくい体質なのか、以前は汗をかいていたのに急に変わったのかで、受診の必要性も変わります。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 状況 | 暑い日、運動時、入浴後など、本来汗をかきやすい場面か |
| 変化 | 以前から汗が少ないのか、急に汗をかかなくなったのか |
| 全身状態 | 体が熱い、顔が赤い、ぐったりしている、反応が鈍いなどがないか |
| 他の症状 | 手足の痛み、皮膚・歯・髪の特徴、成長や発達の遅れがないか |
汗が少ない原因は、体質や環境によるものから、発汗機能や自律神経の異常まで幅があります。
「汗をかく必要が少ない状況」と「汗をかくべき状況でも出ない状態」を分けて考えることが大切です。
汗が少ないことに加えて、暑さに弱い、体温が上がりやすい、手足の痛み、皮膚や歯の異常、成長の遅れなどがある場合は、病気の可能性も含めて医師に相談しましょう。
汗をかくときは、体温が上がったという情報を脳が受け、脳の視床下部という部位から汗を出す指令が交感神経に伝えられます。交感神経からアセチルコリンという発汗を促す物質が分泌され、汗腺にある受容体にくっつくと汗がでてきます。その際、神経に異常があると汗腺にうまく指令が伝わらず、汗をかかない場合があります。
上記の流れで汗腺から汗が出てきますが、汗腺がない、あるいは汗腺が機能しにくくなっている場合に汗がうまく出ない場合があります。
汗腺がないのは主に遺伝などの先天的な要因となります。汗腺が機能しにくくなる例としては、ファブリー病でグロボトリアオシルセラミドという物質がたまることで、汗が出ない症状が起きることがあります。
汗の分泌を調節しているホルモンとして、甲状腺ホルモンがあります。甲状腺が機能しにくくなっていると、ホルモンの影響で汗をかかなくなることがあります。

汗をかかない・汗が少ない症状はいくつかの病気でみられます。
ただし、汗だけで診断はできません。
疾患ごとに「特徴的な症状」「家庭で気づくポイント」「受診の目安」を確認しましょう。
本来汗をかく場面で汗が出ない、または著しく少ない状態です。全身性では体温を下げにくく、暑い環境で熱中症を起こしやすくなります。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
以前は汗をかいていたのに急に減った、汗が出ない範囲が広がる、暑さで体調を崩しやすい場合は注意します。
受診の目安:
症状が続く場合は小児科や皮膚科へ。意識の変化やけいれんがある場合は救急対応を優先します。
汗腺が少ない、または働きにくいことで発汗が少なくなる先天性の病気です。毛髪・歯・皮膚にも特徴がみられることがあります。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
汗の少なさに加え、髪や歯の特徴、皮膚の乾燥がある場合は、家族に似た特徴があるかも確認しましょう。
受診の目安:
暑さで発熱を繰り返す場合は小児科や皮膚科へ。必要に応じて遺伝診療科につながります。
非常にまれですが、汗をかきにくいことに加え、痛みや温度を感じにくい病気です。けがややけどに気づきにくいことがあります。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
汗だけでなく、痛みに気づきにくい、熱さや冷たさへの反応が弱い、けがが多い場合は記録しておきましょう。
受診の目安:
発熱、けが、やけど、骨折を繰り返す場合は小児科で相談し、専門施設での評価を検討します
甲状腺ホルモンが不足すると代謝が低下し、汗が少ない、寒がる、疲れやすいといった症状が出ることがあります。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
便秘や皮膚の乾燥、疲れやすさ、成長の遅れが続く場合は、汗の少なさと合わせて伝えましょう。
受診の目安:
症状が続く、成長曲線から外れてきた場合は小児科へ。血液検査で確認することがあります。
ライソゾーム病は、細胞内の「ライソゾーム」の働きに関わる病気の総称です。
種類によって症状は異なりますが、ファブリー病では小児期から手足の痛み、汗をかきにくい、暑さに弱い、腹痛・下痢、赤紫色の発疹などがみられることがあります。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
汗の少なさだけでライソゾーム病と判断することはできません。手足の痛み、暑さへの弱さ、腹痛・下痢、皮膚の発疹、家族に似た症状がある場合は、受診時に伝えましょう。
受診の目安:
汗をかきにくいことに加えて、複数の症状が続く場合は小児科に相談しましょう。必要に応じて、代謝・遺伝を専門とする外来で詳しい検査を行うことがあります。
一部の薬や、神経・皮膚の病気では発汗が不十分になることがあります。服薬中の薬は自己判断で中止しないことが大切です。
特徴的な症状:
家庭で気づくポイント:
新しい薬を飲み始めた時期と汗の変化が重なっていないか確認します。薬の名前や開始時期をメモしましょう。
受診の目安:
薬との関係が気になる場合は、処方医や小児科へ相談します。自己判断で中止しないでください。
特に注意したいのは、汗の量そのものよりも「体に熱がこもっているサイン」がある場合です。
汗をかいていないから熱中症ではない、汗をかいているから軽い、とは判断できません。
熱中症が疑われるときは、涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、首・わきの下・足の付け根などを冷やします。
意識がおかしい、けいれんがある、ぐったりしている場合は、通常の外来を待たず救急対応を優先してください。

受診の判断は、発汗の少なさが続いているか、暑さに弱いか、他の症状を伴うかで考えます。
迷う場合は、まず小児科に相談しましょう。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 様子を見てもよいことが多い | 涼しい環境では汗が少ないが、暑い日や運動時には汗をかき、元気・水分摂取に問題がない |
| 早めに小児科へ相談 | 暑い環境や運動時にも汗をほとんどかかない、急に汗が出なくなった、成長や発達が気になる |
| 専門科を検討 | 皮膚の異常、髪や歯の特徴、手足の痛み、内分泌や神経の症状がある |
| 救急対応を優先 | 意識がぼんやりする、けいれん、ぐったり、水分が取れない、体が異常に熱い |
基本の相談先は小児科です。皮膚の異常が中心なら皮膚科、成長やホルモンが気になる場合は小児内分泌科、神経症状や遺伝性疾患が疑われる場合は専門外来につながることがあります。
緊急症状がある場合は、外来予約を待たず救急を選びましょう。
診察では、「汗をかかない」という一点だけでなく、普段との違いや他の症状が重要な手がかりになります。
次の内容をメモしておくと、医師に伝えやすくなります。
可能であれば、暑い日の様子や運動後の変化を時系列で記録しましょう。写真や体温の記録があると、受診時の説明に役立つことがあります。
A. 汗が少ないだけで、すぐに病気とはいえません。汗の量には個人差があり、涼しい場所で過ごしている、運動量が少ない、服装や室温が合っている場合は汗が目立たないこともあります。
ただし、暑い日や運動時にもほとんど汗をかかない状態が続く場合は、小児科に相談しましょう。
A. 体が熱い、顔が赤い、ぐったりしている、水分が取れない場合は注意が必要です。発汗が少ないと熱がこもりやすくなります。
ただし、熱中症は汗の有無だけでは判断できません。
意識がぼんやりする、けいれんがある、反応が鈍い場合は救急対応を優先してください。
A. 同じではありません。
汗が少ない体質の子もいますが、無汗症や発汗低下症は、本来汗をかく条件でも汗が出ない、または著しく少ない状態を指します。
医師は発汗の範囲、暑さへの弱さ、皮膚や神経の症状、薬の影響などを合わせて判断します。
A. まずは小児科に相談するのが基本です。
必要に応じて皮膚科、小児内分泌科、小児神経科、遺伝診療科などへ紹介されます。
皮膚が熱く乾いてぐったりしている、意識がぼんやりしている、けいれんがある場合は救急外来を受診しましょう。
A. 診察では、汗が少ない場面、体温、皮膚の状態、発汗の範囲、神経症状、成長発達、服薬歴、家族歴を確認します。
必要に応じて血液検査、甲状腺機能検査、発汗検査、皮膚の評価、遺伝学的検査などを行います。
検査内容は症状によって異なります。
子どもが汗をかかないことには、体質や環境による個人差も多く、汗をかかないという症状だけで病気とは判断できません。
まずは、暑い日や運動時にも汗が少ないのか、体温が上がっていないか、他の症状がないかを確認しましょう。
一方で、発汗が少ないと体温を下げにくくなるため、暑い環境では熱中症に注意が必要です。
ぐったりしている、意識がぼんやりしている、けいれんがある、水分が取れない場合は救急対応を優先してください。
汗の少なさが続く、急に汗をかかなくなった、手足の痛みや皮膚・歯・成長の異常を伴う場合は、小児科に相談しましょう。
「いつもと違う」という保護者の気づきは、診断や早期対応につながる大切な情報です。
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