子どもの皮膚の変色や発疹

2026/5/28 更新

1. はじめに

他の子と比べて、色黒な気がする・・・

子どもの皮膚が変色しても、多くは乾燥、かぶれ、打撲、虫刺され、体温変化、感染症後の色素沈着など日常的な原因で起こります。


まずは慌てず、色・広がり方・発熱・元気の有無を確認しましょう。


ただし、押しても消えない赤紫の斑点、唇や爪の青紫色、ぐったりしている、発熱を伴って急に全身へ広がる発疹は早めの受診が必要です。


子どもの皮膚が変色する原因とは、皮膚の炎症、血流の変化、皮膚の下の出血、色素沈着、感染症、アレルギーなどにより、見た目の色が一時的または持続的に変わることです。

発疹は赤み、ぶつぶつ、水ぶくれ、じんましんなど、皮膚表面の変化を伴う点が特徴です。


2. まずはチェックすること

最初に見るべきポイントは、皮膚の色だけではありません。

子どもの全身状態、発熱、呼吸、痛み、かゆみ、広がり方を一緒に確認すると、様子見でよいか受診すべきかを判断しやすくなります。

確認項目見方受診判断のヒント
赤い、白い、青紫、黄色、黒ずみ、まだらなど青紫・紫斑・急な黄色みは注意が必要なことがあります
押すと消えるか透明なコップや指で軽く押す押しても赤紫色が消えない場合は紫斑の可能性があります
範囲一部だけか、全身か、急に広がるか全身に急に広がる発疹や強いかゆみは受診目安です
全身状態元気、食欲、機嫌、ぐったり感ぐったり、反応が悪い、顔色が悪い場合は急いで相談します
発熱熱の有無、何日続くか発熱と発疹が同時にある場合は感染症も考えます
呼吸苦しそう、唇が紫、ゼーゼーする唇が紫、呼吸が苦しい場合は緊急性があります

様子見でよいことが多いのは、子どもが元気で、発熱がなく、変色が小範囲で、数時間から数日で薄くなっている場合です。

たとえば軽い打撲後の青あざ、寒さで一時的に手足がまだらになる、虫刺され後の赤みなどは、経過を見ながら観察できることがあります。

ただし、保護者から見て「いつもと違う」と感じる場合は、写真を撮って小児科や皮膚科に相談して構いません。

皮膚症状は時間で変化しやすいため、受診時に写真が役立つことがあります。


3. よくある原因

子どもの皮膚の変色は、よくある原因から考えることが大切です。

多くは乾燥や炎症、打撲、体温変化、感染症後の変化などで、必ずしも重い病気を意味するわけではありません。

原因起こりやすい色・見た目家庭での確認ポイント
乾燥・湿疹赤み、カサカサ、かゆみ、掻いた後の黒ずみ入浴後や寝る前にかゆがるか。保湿で改善するか
かぶれ・接触刺激おむつ、衣類、絆創膏の形に沿った赤み新しい洗剤、服、薬、日焼け止めを使っていないか
虫刺され・じんましん赤いふくらみ、強いかゆみ、場所が移動することも短時間で出たり消えたりするか。呼吸症状がないか
打撲・圧迫青紫、黄色、茶色へ変化するあざぶつけた記憶、痛み、腫れ、動かしにくさの有無
体温変化・血流変化手足のまだら、青白さ、赤み寒さや入浴後に一時的に出るか。温めて戻るか
感染症後の色素沈着発疹が治った後の茶色い跡、黒ずみ手足口病などの後に残り、徐々に薄くなるか
アレルギーじんましん、赤み、むくみ、かゆみ食事、薬、虫刺され後に急に出たか。咳や息苦しさがないか

赤い斑点や発疹は、乾燥、湿疹、虫刺され、ウイルス感染症でよく見られます。

発熱を伴う場合は、突発性発疹、水ぼうそう、手足口病、麻しん、風しんなどの感染症も考えます。

周囲への感染を防ぐため、発熱や強いだるさがあるときは登園・登校前に医療機関へ相談しましょう。


4. その症状で考えられる病気

考えられる原因・病気は?

考えられる病気は、色や発疹の形、年齢、全身症状によって変わります。

見た目だけで断定せず、迷う場合は小児科または皮膚科で確認しましょう。

ウイルス感染症

よくある原因として、ウイルスの感染症の後に、色素沈着が残るものです。たとえば手足口病は手足や臀部などに水疱ができますが、それが治った後も、しばらくは水疱のあとが色素沈着として残ります。

個人差はありますが、数週間〜数ヶ月経てば気にならなくなる場合がほとんどです。麻疹(はしか)も全身に発疹がでる感染症ですが、やはり治りかけのときに色素沈着となり、しばらく残ります。


潜在性二分脊椎

また生まれつき「お尻の割れ目」が少し曲がっていて、かつ、その場所に色素沈着など皮膚の変色がある場合は「潜在性二分脊椎」という病気も疑われます。お腹の中にいる胎児のときに、脊髄や神経が正常に作られない病気です。

他にも、割れ目が歪んだ場所に、毛が生えていたり、盛り上がったり、逆に凹んでいるなどの場合も、この病気を考えます。


新生児一過性膿疱性メラノーシス

生後まもない赤ちゃんに、小さな膿疱やにきびのような発疹が出て、その後に色素沈着が残ることがあります。

自然に落ち着くことが多い症状ですが、新生児の発疹は感染症との見分けが必要なこともあるため、生後1か月までの赤ちゃんは小児科で確認すると安心です。


湿疹・アトピー性皮膚炎・接触皮膚炎

赤み、かゆみ、カサカサが続く場合は、湿疹やアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎が考えられます。
乾燥、汗、衣類のこすれ、よだれ、食べこぼしなどが刺激になり、掻いたあとに黒ずみが残ることもあります。

眠れないほどかゆい、じゅくじゅくする、同じ場所を繰り返す場合は相談しましょう。


じんましん・アレルギー反応

赤いふくらみが急に出て、数時間で消えたり場所を変えたりする場合は、じんましんが考えられます。

食べ物、薬、虫刺され、感染症、寒暖差、運動などがきっかけになることがあります。
咳、息苦しさ、嘔吐、顔や唇の腫れ、意識がぼんやりする症状を伴う場合は緊急受診が必要です。


紫斑病・血液の病気

押しても消えない赤紫色の斑点は、皮膚の下の出血である紫斑の可能性があります。

腹痛、関節痛、血尿を伴う場合はIgA血管炎などが考えられます。あざが急に増える、鼻血や歯ぐきからの出血がある、ぐったりしている場合は早めに小児科を受診してください。


チアノーゼを伴う病気

唇、顔色、爪が青紫色に見える場合は、呼吸や循環の異常が関係するチアノーゼの可能性があります。

寒さで手足だけが一時的に青くなることもありますが、唇まで紫色で、呼吸が苦しそう、哺乳が悪い、ぐったりしている場合は救急相談や救急受診を考えてください。


遺伝的な病気

またいずれも稀ですが、遺伝的な原因が考えられている疾患も、色素沈着を生じるものがあります。「先天性角化異常症」では爪が萎縮し、口の粘膜が白くなり、身長が伸び悩むような様々な異常とともに、皮膚が網状に色素沈着を生じるのが特徴的です。

色素失調症」も生後数ヶ月までの、早い時期に発覚することが多い病気です。生後2週間以内に、小さな水疱などが手足にでき、その後数ヶ月かけて、その部分が色素沈着(うずまき状になることが多い)と変化していく病気です。

ほかにも歯や髪の毛にも異常をきたします。「ポイツ・ジェガース(Peutz-Jeghers)症候群」では、赤ちゃんの頃から唇や指の先端に小さな色素沈着があり、消化管ポリープやポリープによる出血などから診断に至ることのある病気です。


幼児期や学童期に発覚する病気

生まれてすぐではありませんが、幼児期や学童期などに発覚する、色素沈着を引き起こす疾患もあります。

ファンコニ(Fanconi)貧血」は身長が伸び悩んだり、骨が変形したり、出血しやすくなったりという様々な症状の1つに、皮膚の色素沈着が見られます。

また、ホルモンの異常で思春期の時期が早まりすぎてしまう「思春期早発症」では、たとえば8歳未満で陰毛が生えたり、脇毛が生えたりするとともに、外陰部(陰唇)が黒ずむなどの色素沈着が見られます。乳輪に色素沈着が見られ、さらに乳房も発育してくる場合もやはりこの病気を疑います。


先天性副腎過形成症

上記以外にも、特に生まれてすぐ、あるいは生後数ヶ月以内にわかることが多い「色素沈着」の原因として先天性副腎過形成症があります。

これは副腎という、腎臓の上の小さな臓器に異常がある病気です。副腎は様々なホルモンを作っているため、症状も多岐にわたります。男性ホルモンが過剰になることなどで、全身が浅黒くなる色素沈着、また乳輪・口唇・腋窩(わきの下)・外陰部(陰嚢や陰唇)などにも黒色の色素沈着を起こします。

そのほか、染色体としては女の子なのに、外性器が男の子のようになってしまったり、毛深くなったり、身長が伸びづらくなったり、またウイルスなどの感染症にかかった際に、意識障害など重い症状を起こしたりする副腎クリーゼにも注意が必要です。

先天性副腎過形成症は、通常、生まれたときの外性器の様子や、また新生児マススクリーニングという血液検査で、生まれてすぐ発見されることが多いです。ただし全てのタイプの先天性副腎過形成症がスクリーニングできるわけではないので、出生後少したって、自宅で症状に気づいて発覚することもあります。


5. 病院を受診する目安と診療科

受診の判断は「全身状態」「変色の特徴」で考えます。

元気で小範囲なら様子を見られることもありますが、悪化する場合や原因が分からない場合は相談しましょう。


様子見でよいことが多いケースは、元気がある、発熱がない、変色が小範囲、打撲や虫刺されなど原因が分かる、寒さや入浴後の一時的な変化、感染症後の薄い色素沈着が少しずつ薄くなる場合です。

診療時間内に受診したいケースは、発疹が全身に広がる、発熱を伴う、痛みやかゆみが強い、じゅくじゅくする、押しても消えない赤紫の斑点がある、白い斑点や黒ずみが広がる、乳児の皮膚症状が気になる場合です。


緊急受診や救急相談が必要なのは、ぐったりしている、唇や爪が青紫で呼吸が苦しそう、じんましんに咳や嘔吐を伴う、高熱と紫斑がある、けいれん、強い腹痛、血便、血尿、関節の腫れがある場合です。

発熱や元気のなさ、感染症の可能性がある場合は小児科が相談しやすいでしょう。かゆみ、湿疹、白斑、黒ずみ、長引く発疹など皮膚症状が中心なら皮膚科も適しています。迷う場合はまず小児科で全身状態を確認してもらうと安心です。


6. Q&A

Q1. 子どもの皮膚が紫色です。すぐ病院に行くべきですか?

A. 唇や顔色が青紫で呼吸が苦しそう、ぐったりしている場合は緊急受診を考えてください。
押しても消えない赤紫の斑点が多い場合も早めに受診しましょう。

Q2. 赤ちゃんの皮膚がまだらに見えます。病気ですか?

A. 寒さや泣いた後に一時的にまだらになることがあります。温めて戻り、元気があれば様子を見られることもあります。
ただし、唇が紫、哺乳が悪い、ぐったりする場合はすぐ相談してください。

Q3. 子どもの発疹は何科を受診すればよいですか?

A. 発熱やぐったり感がある場合は小児科、皮膚だけの症状が長引く場合は皮膚科が適しています。
乳児や全身症状がある場合は、まず小児科に相談しましょう。

Q4. 写真を撮っておいた方がよいですか?

A. はい。皮膚症状は時間で変わるため、全体と近くの写真を撮り、いつから、どこに、何と一緒に出たかをメモしておくと診察時に役立ちます。


7. まとめ

子どもの皮膚が変色したときは、色だけで判断せず、元気、発熱、呼吸、痛み、かゆみ、広がり方を確認しましょう。
多くは乾燥、炎症、体温変化、打撲、虫刺され、感染症後の色素沈着などで起こります。


一方で、押しても消えない紫斑、唇の青紫、ぐったり、発熱を伴う全身の発疹、強い腹痛や関節痛がある場合は早めの受診や救急相談が必要です。

迷ったときは写真とメモを用意し、小児科または皮膚科に相談してください。


参考文献:

小児症候学89 原著第2版, 東京医学社, 2018年

日本内分泌学会

日本小児科学会

日本小児救急医学会

阪下和美、正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン、東京医学社、2017年



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