重症筋無力症

2026/9/11 更新

重症筋無力症とは?

脊髄性筋萎縮症とは

重症筋無力症(Myasthenia gravis:MG)は、神経から筋肉へ「動いて」という信号が伝わりにくくなる自己免疫疾患です。

筋肉そのものが壊れていく病気ではなく、神経と筋肉のつなぎ目である神経筋接合部に問題が起こります。


多くはAChR(アセチルコリン受容体)などに対する自己抗体が関係し、抗MuSK抗体(抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体)が見つかることもあります。


主な特徴は、使うほど力が入りにくくなり、休むと改善する「易疲労性」と、夕方に強くなることがある「日内変動」です。


病名に「重症」とありますが、すべての患者さんが重い症状になるわけではありません。

ただし、飲み込みや呼吸に関わる症状には注意が必要です。


子どもの重症筋無力症

重症筋無力症は子どもにもみられます。

小児期発症 重症筋無力症では、まぶたが下がる、物が二重に見えるなどの眼の症状から気づかれることがあります。


乳幼児では、泣き声が弱い、哺乳に時間がかかる、むせやすいなどで現れることがあります。

学童期では、走るとすぐ疲れる、階段がつらい、長く話すと声が弱くなる様子が手がかりになります。


ただし、疲れやすい、走るのが苦手という症状だけで重症筋無力症と判断はできません。

症状の変動、眼の症状、飲み込み、呼吸、全身状態を合わせて医師が判断します。


主な症状

症状は眼、顔や口、手足、呼吸に出ることがあります。眼だけの場合も、全身の筋力低下を伴う場合もあります。

部位具体的な症状特徴
眼瞼下垂、複視、目を動かしにくい疲れるとまぶたが下がる、夕方に強くなることがあります。
顔・口・喉表情を作りにくい、話しにくい、かみにくい、飲み込みにくい長く話す、食事を続けると症状が目立つことがあります。
首・手足首を支えにくい、腕が上がりにくい、歩きにくい、階段がつらい同じ動作を繰り返すと力が入りにくくなります。
呼吸息苦しさ、呼吸筋の筋力低下急な悪化時は早めの医療相談が必要です。


重症筋無力症の特徴「易疲労性」と「日内変動」

重症筋無力症では、筋肉を使い続けると信号が伝わりにくくなり、力が入りにくくなります。

休むと一時的に改善する点が特徴です。


たとえば、朝は普通に目が開いていても夕方にまぶたが下がる、長く歩くと足に力が入りにくくなる、食事の後半でかみにくい・むせやすい、などです。

症状は日によっても変わります。


原因・遺伝について

重症筋無力症の多くは、免疫が自分の体の一部を攻撃してしまう自己免疫の仕組みで起こります。

神経筋接合部のAChRやMuSKなどが標的になると、神経から筋肉への信号が弱くなります。


抗AChR抗体陽性の患者さんでは、胸腺過形成や胸腺腫など胸腺の異常が関係することがあります。

胸腺は免疫に関わる臓器で、必要に応じて画像検査で確認します。


自己免疫性の重症筋無力症は、一般的な意味で「親から子へ必ず遺伝する病気」ではありません。

神経筋接合部の遺伝子異常で起こる先天性筋無力症候群(CMS)は、自己免疫性MGとは別の病気です。


診断方法

診断では、症状の出方、日内変動、易疲労性、眼瞼下垂や眼球運動の状態を確認し、抗体検査や神経生理学的検査を組み合わせます。

検査確認すること
問診・診察症状の時間帯、反復で悪化するか、休むと改善するかを確認します。
自己抗体検査抗AChR抗体、抗MuSK抗体などを血液検査で調べます。陰性でも否定できない場合があります。
神経生理学的検査反復刺激試験、単線維筋電図などで神経筋伝達を評価します。
胸部画像検査胸部CTなどで胸腺過形成や胸腺腫の有無を確認します。

すべての検査を必ず行うわけではありません。

小児では抗AChR抗体が陰性の例もあるため、症状と検査結果を総合して判断します。


治療方法

脊髄性筋萎縮症びの治療法

重症筋無力症は、治療によって症状をコントロールし、寛解を目指せる病気です。

治療は、症状を和らげる治療、免疫反応を抑える治療、急な悪化に対応する治療を組み合わせます。


  • コリンエステラーゼ阻害薬:神経筋接合部で信号が伝わりやすくなるよう助ける対症療法です。
  • ステロイド・免疫抑制薬:自己免疫の働きを抑え、症状の改善を目指します。小児では成長への影響にも注意します。
  • IVIG・血漿交換療法:症状が強い場合や急性増悪時に行われることがあります。
  • 胸腺摘除術:胸腺腫がある場合などに検討されます。小児では年齢や病型を慎重に考えます。
  • 分子標的治療薬:成人の全身型MGを中心に複数の補体阻害薬やFcRn阻害薬(IgGの分解を促進する薬剤)があります。小児で使えるかは薬ごとに異なり、年齢、抗体、重症度、治療歴などによって専門医が判断します。


急激な悪化・呼吸症状について

重症筋無力症では、頻度は高くありませんが、飲み込みや呼吸に関わる筋肉が急に弱くなることがあります。

呼吸しにくい、むせが強い、飲み込めない、会話が続かない、急に全身の力が入らない場合は早めの対応が必要です。


このような急性増悪はクリーゼと呼ばれ、集中治療や人工呼吸管理が必要になることがあります。

早く医療につながるために知っておきたいサインです。


日常生活・学校生活で気を付けること

重症筋無力症では、頻度は高くありませんが、飲み込みや呼吸に関わる筋肉が急に弱くなることがあります。

呼吸しにくい、むせが強い、飲み込めない、会話が続かない、急に全身の力が入らない場合は早めの対応が必要です。


このような急性増悪はクリーゼと呼ばれ、集中治療や人工呼吸管理が必要になることがあります。

早く医療につながるために知っておきたいサインです。


重症筋無力症は子どもにも大人にもみられる病気です。

成人を含めた治療や生活、患者・ご家族向けの情報を詳しく知りたい方は、かんしん広場の「重症筋無力症広場」もご覧ください。


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利用できる医療・福祉制度

重症筋無力症は指定難病で、小児慢性特定疾病の対象です。

医療費や生活を支える制度を利用できる場合がありますが、病名だけでは助成対象にならないこともあります。

制度概要
指定難病医療費助成制度一定の重症度や基準を満たす場合、医療費負担を軽減できます。
小児慢性特定疾病医療費助成制度18歳未満を中心に、対象基準を満たす子どもの医療費を助成します。
身体障害者手帳呼吸、嚥下、移動、日常生活に支援が必要な場合に検討します。
特別児童扶養手当・障害年金・自治体支援年齢、障害の程度、所得、自治体の制度により対象が異なります。

※制度名をタップするとかんしん広場(外部サイト)へ遷移します


将来・成人後について

脊髄性筋萎縮症の検査方法

重症筋無力症の経過は、病型、抗体、症状の範囲、治療への反応で異なります。

適切な治療と管理で症状が落ち着き、学校生活や社会生活を続ける方もいます。


寛解しても再燃することがあるため、薬や通院を自己判断で中断しないことが大切です。

成人後は、小児科から成人診療科へつながる移行期医療も重要です。


寿命は一つの数字で示せませんが、長期的に生活する方も多くいます。


受診先・相談先

子どもの眼瞼下垂、複視、疲れやすさ、飲み込みにくさが気になる場合は、まず小児科に相談しましょう。

必要に応じて小児の神経筋疾患の専門医に紹介されます。


眼の症状が目立つ場合は眼科が入り口になることもあります。呼吸症状や急な悪化がある場合は、通常の外来を待たず救急受診を検討してください。


よくある質問(FAQ)

Q. 重症筋無力症とはどんな病気ですか?

A. 神経から筋肉への信号が伝わりにくくなり、筋力低下や疲れやすさが出る自己免疫疾患です。

筋肉そのものが壊れる病気とは異なり、神経筋接合部での伝達障害が中心です。


Q. 子どもにも重症筋無力症はありますか?

A. あります。小児期発症MGでは、まぶたが下がる、物が二重に見えるなど眼症状が目立つことがあります。

全身の筋力低下や飲み込みにくさを伴う場合もあります。


Q. 重症筋無力症は遺伝しますか?

A. 自己免疫性MGは、一般的に親から子へ直接受け継がれる遺伝性疾患とは異なります。

遺伝子異常で起こる先天性筋無力症候群とは別の病気です。


Q. 治りますか?寿命は短いですか?

A. 治療により症状をコントロールし、寛解を目指せる病気です。

経過には個人差があり、寿命を一つの年齢で断定できません。呼吸や嚥下の症状は早めの対応が重要です。


Q. 学校生活や体育はできますか?

A. 状態に合わせて参加できます。

朝は元気でも夕方に疲れやすいなど症状が変動するため、体育、移動、給食、行事での休憩や見守りを学校と相談しましょう。


難病の子どもとスポーツの話 を詳しく知りたい方はこちら

学校生活について詳しく知りたい方はこちら


まとめ

重症筋無力症は、神経から筋肉への信号が伝わりにくくなる自己免疫疾患です。

眼瞼下垂や複視などの眼症状、話しにくさ、飲み込みにくさ、手足や首の筋力低下、疲れやすさがみられることがあります。


特徴は、同じ動作を続けると症状が出やすくなり、休むと一時的に改善する「易疲労性」と、時間帯によって症状が変わる「日内変動」です。

子どもでは症状を言葉で説明しにくいこともあるため、まぶたの下がり方、食事や会話の様子、疲れやすさなど、普段との違いを記録して受診時に伝えると役立ちます。


治療は、症状を和らげる薬、免疫の働きを調整する治療、急に悪化した場合の治療、胸腺の異常への対応などを、症状や年齢に合わせて組み合わせます。

学校生活では、体育、給食、移動、休憩、行事への参加方法などを、主治医や学校と相談しながら調整していくことが大切です。


重症筋無力症は子どもだけでなく、大人にもみられる病気です。

成人では仕事、妊娠・出産、治療の継続、生活上の工夫など、子どもとは異なる悩みが出てくることもあります。


大人の重症筋無力症や、患者さん・ご家族向けの生活情報について知りたい方は、かんしん広場の「重症筋無力症広場」もご覧ください。


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監修医:国立研究開発法人 国立成育医療センター 総合診療部 統括部長 窪田満 先生


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