よだれが止まらない

5/11 公開

はじめに…

「子どものよだれがダラダラと止まらない。これって普通なの?」

「スタイを何度替えても追いつかないけれど、どこか悪いのかな?」 


四六時中よだれが止まらない状態が続くと、
初めて育児に向き合うママ・パパは不安になってしまいますよね 。


まずお伝えしたいのは、多くの場合、よだれが止まらないことは消化機能や口の周りの筋肉が発達している「成長の証」であるということです。
機嫌がよく、母乳やミルクをしっかり飲めていれば、過度に心配する必要はありません 。


しかし、中には「飲み込み(嚥下)」がうまくいかなかったり、口の中にトラブルがあったりと、注意が必要なサインである場合もあります 。
特に、よだれが過剰に出続ける状態は専門的に「慢性流涎症(まんせいりゅうぜんしょう)」と呼ばれ、その背景には神経や筋肉の重要な疾患が隠れていることがあります。


この記事では、子どものよだれが止まらない原因から注意すべき病気、そして「飲み込む力」に関わる、大人にも共通する大切な知識について解説します 。


なぜ止まらない?子どものよだれが増える主な理由

子どものよだれが止まらないのには、生理的な理由がいくつかあります 。

これらは体が順調に発達しているサインでもあります。


1. 唾液の分泌量に対して「飲み込む力」が未熟

子どもは生後2〜3ヶ月頃から唾液を作る能力が発達しますが、一方で口の中に溜まった唾液を上手に飲み込む機能(嚥下機能)はまだ未熟です。


ダムから水が溢れるように、処理しきれない唾液が口の外へ流れ出ている状態であり、成長とともに自然と落ち着いていきます 。


2. 歯の生え始め(歯ぐきのムズムズ)

生後6ヶ月前後から乳歯が生え始めると、歯ぐきがムズムズとしたり、違和感を覚えたりします。

この刺激が脳に伝わり、唾液の分泌を活発にさせることがあります。


3. 離乳食に向けた準備

生後5〜6ヶ月頃になると、食べ物を消化するための酵素を含んだ唾液が大量に分泌されるようになります。


これは「食べ物を受け入れる準備ができた」というプラスのサインでもあります。


病気ではない「様子を見てよい」ケースとケア方法

様子を見てよい目安

  • 機嫌がよく、よく笑い、活気がある 
  • ミルクや離乳食を普段通りしっかり食べている 
  • 発熱やその他の体調不良が見られない 
  • 体重がその子なりに順調に増えている


口の周りの筋肉が発達し、唾液を上手に飲み込めるようになる1歳〜2歳頃には、自然とよだれの量は落ち着いてきます。


家庭でのケア:よだれかぶれを防ぐ

よだれが止まらない時に気をつけたいのが、口周りや顎の「よだれかぶれ」です。

唾液に含まれる成分が皮膚を刺激し、赤みや湿疹を引き起こすことがあります。

  • 優しく拭き取る: 乾いたタオルでゴシゴシこすらず、濡らしたガーゼなどで優しく押さえるように拭き取ります。
  • 清潔を保つ: こまめにスタイ(よだれかけ)を交換します。
  • 皮膚を保護する: ワセリンやベビーローションで口の周りを保湿し、バリア機能を持たせます。

【要注意】よだれが止まらない時に考えられる病気

考えられる病気は?

普段の様子と違い、急によだれが止まらなくなったり、

長期間改善されなかったりする場合は、以下のようなトラブルが隠れている可能性があります 。

口の中を痛がっている・熱がある場合

手足口病、ヘルパンギーナ、口内炎など

口の中に発疹や水ぶくれができ、それが痛むために唾液を飲み込めず、よだれとして流れ出ている状態です。


特徴: 急に食事を嫌がる、不機嫌、発熱を伴う。

対処: 水分補給を優先し、脱水症状に注意しながら小児科を受診してください。


呼吸が苦しそう・飲み込めない場合

異物誤飲、喉の炎症(クループ症候群など)

年齢が上がっても常によだれが垂れている場合、口周りの筋肉を動かして「飲み込む」という協調運動が苦手な可能性があります。


特徴: 食べるのに極端に時間がかかる、よくむせる、手先の不器用さが目立つ。


飲み込む力の弱さ・不器用さが気になる場合

脊髄性筋萎縮症(SMA)、発達性協調運動症(DCD)など

筋肉を動かす神経や、運動の連動(協調運動)に課題がある場合、唾液を上手に喉の奥へ送れずによだれが止まらなくなります。

このように唾液をうまく飲み込めず流出が続く状態を「慢性流涎症」と呼びます。


特徴: 食べるのに極端に時間がかかる、よくむせる、手先の不器用さが目立つ。

対処: 乳幼児健診で相談するか、小児科で専門的な発達・神経の評価を受けてください。


→ 脊髄性筋萎縮症の詳しい情報はこちら


「よだれが止まらない」は大人にも起こる症状です

筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー症、パーキンソン病

子どものよだれは成長過程でよく見られますが、大人で以前よりよだれが増えた、飲み込みづらい、むせやすいといった変化がある場合は注意が必要です。


こうした状態は、唾液の量そのものよりも、うまく飲み込めないことで起こる

「慢性流涎症(まんせいりゅうぜんしょう)」の可能性があります。


特徴: よだれが持続的に多い、食事中によくむせる、飲み込みにくい。

対処: 子どもの場合は小児科へ相談し、発達や口腔機能の確認を受けましょう。


大人で急に増えた場合や、むせ・滑舌低下・手足の力の入りにくさを伴う場合は、耳鼻咽喉科・脳神経内科などの受診が推奨されます。

背景には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー症、パーキンソン病など、神経や筋肉に関わる病気が隠れていることもあります。

ご家族で、以前よりよだれが増えた、飲み込みにくい、むせやすい、話しにくいなど気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。


筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状、治療薬、生活の工夫、専門医や患者さんの声について詳しく知りたい方は、かんしん広場の筋萎縮性側索硬化症(ALS)広場をご覧ください。

→ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)広場はこちら


病院を受診する目安と診療科

すぐに小児科を受診すべきサイン

考えられる病気は?

子どものよだれが止まらないことに加えて、以下の症状がある場合は早めに受診してください。 


  • 半日以上、水分が摂れていない
  • おしっこの回数が極端に少ない
  • 38度以上の発熱がある
  • 呼吸が苦しそう、泣き声が弱い
  • 突然よだれが止まらなくなった(誤飲の疑い)


まずは小児科を受診しましょう。

受診時には「いつから増えたか」「飲み込みにくそうか」「発熱の有無」を伝えると診察がスムーズです。


まとめ

受診目安の判断

様子見でOK(家庭でケア)早めに小児科へ受診・相談
機嫌が良く、食欲がある痛がってミルクや水分を摂れない
発熱やその他の症状がない38度以上の熱がある、口に発疹がある
歯が生え始めている呼吸が苦しそう、顔色が悪い
スタイを替えれば肌荒れしない半日以上おしっこが出ていない


気になる症状がある場合は専門医へ相談を

子どものよだれが止まらないことは、多くの場合、成長の過程で見られる自然な現象です。


しかし、中には「飲み込む(嚥下)」という複雑な機能に課題があり、専門的な治療やケアが必要な「慢性流涎症(まんせいりゅうぜんしょう)」という状態が隠れている場合もあります。

この唾液を適切に飲み込む力は、子どもから大人まで、生涯にわたって私たちの健康を支える非常に重要な機能です。


もし、お子様だけでなく、ご家族の中で「最近よだれが増えた」「飲み込みにくい」「話しにくい」といった違和感がある場合は、単なる加齢や一時的な不調と片付けず、注意を向けてみてください。


大人における慢性流涎症は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経疾患によって、飲み込むための筋肉や神経が影響を受けている初期サインである可能性があるからです。

お子様の健やかな成長を見守ると同時に、ご家族みんなで「食べる・飲む・話す」という当たり前の動作に意識を向けることが、早期発見と適切なケアへの第一歩となります。


少しでも不安や疑問を感じることがあれば、一人で抱え込まず、当サイトの疾患別ポータルや専門医を活用してください。正しい知識を共有することが、家族全員の安心と健やかな暮らしを守る鍵となります。


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